試作品・モックアップ製作時に行う「PoC」の概要とメリット

2022/02/08
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新商品の開発をする際には、アイデアを有効な形にするために試作品やモックアップ製作を経て、量産段階に入ります。最近では、消費者の多様なニーズやIT技術の進歩にともない、試作品製作前にPoCを実施する企業も増加しています。この記事では、PoCの概要やPoCを行う目的とメリット、どのような流れで実施されるのかを分かりやすく解説します。

【目次】
1.試作品製作前に行うPoCとは?
2.PoCを行う目的とメリットとは?
3.PoCの実施方法
4.今回のまとめ

試作品製作前に行うPoCとは?

PoCとは原理試作のことです。Proof Of Conceptの頭文字をとった言葉で、概念実証や実証実験と直訳できます。試作品と混同されがちですが、試作品とPoCは同じではありません。
試作品は、商品開発の最終段階で生産や量産につなげる目的で作られます。つまり、商品の完成というゴールに向けて改良などを加えていくプロセスのことです。
一方PoCは、実証実験と訳されることからも分かるように、実効性の検証を行うためのものです。つまり、PoCの段階では製品の仕様などが固まる前に可能かどうかを調べ、試作品は、仕様などが具体化したプロトタイプの意味合いを持つものを指します。

PoCを行う目的とメリットとは?

PoCを実施する目的とメリットは主に3つあります。1つ目は、致命的なリスクを避け確実性を高めること、2つ目は商品開発をスムーズに進めること、3つ目は実現可能性を検証することです。商品開発をしていくと、思わぬ問題が発生することもあります。
問題が発生すると、そこで商品開発がストップするリスクがあるため、できるだけ早い段階でリスク回避や不確実性のある機能などを発見しておこうというわけです。
また、PoCを行うことで商品のコンセプトを明確にでき、プロジェクトがスムーズに進めやすくなります。さらに、PoCで得たデータを活用することで、ユーザーニーズを構想段階から取り入れることも可能です。つまり、PoCによって早い段階で実現性が検証でき、費用対効果が明確になり、使い勝手などの具体性が分かるというメリットが生まれます。

PoCの実施方法

PoCの実施方法を流れに沿ってご紹介します。第一段階目は「PoCを行う目的を決める」ことです。実現可能かどうかの検証をするために、どのようなテストを行い、何のデータを取得するのかを事前に決める必要があります。
第二段階目は「実施および検証する方法の決定」です。検証する内容は、必要最低限の要件を満たすことが条件です。たとえば、その形状で蓋が開け閉めできるのかなどを確認します。実際に商品を使用するユーザーの視点に立って、使用環境を想定した方法の選択が大切です。
第三段階目には「実施および検証を行う」フェーズへと移行します。前述したとおり、ユーザーが使用する状況や環境を再現した上で検証を行いましょう。そうすることで、よりリアルで詳細なデータを得ることができます。
第四段階目は「実施結果の評価」です。実施および検証によって得られたデータから、問題点やリスクなどを評価し、試作品製作に向けたフィードバック内容を決定しましょう。状況によっては、再度PoCの設定も必要です。

今回のまとめ

PoCは従来、製薬会社やIT企業などで行われていました。しかし、消費者が商品に求める品質レベルが向上し、求められるものが多様化するにつれ、ものづくりの世界においても、PoCは注目されています。いきなり大規模なPoCをするのではなく、小規模なPoCをステップごとに積み重ねることで、新商品開発がよりスムーズになるでしょう。また、無駄なコストや時間を使わずに、着実に商品化につなげることができます。商品開発をお考えの方は、ぜひPoC導入を検討してみてください。