試作品製作時に行う「デザイン」と「設計」の違い

2022/02/07
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「デザイン」と「設計」という二つの言葉を聞くと、両者は同じことを指していると思いがちです。実際に、デザインはDesignと記され、日本語訳にすると設計。つまり、単語だけをみると同じことだと勘違いしてしまうのです。しかし、ものづくりなどにおける試作品製作時では両者の意味は同じではありません。この記事では、混同しやすい「デザイン」と「設計」の違いについて解説します。

【目次】
1.試作品製作時のデザインと設計はどちらが先?
2.試作品製作時のデザインとはどの部分?
3.試作品製作時の設計とはどの部分?
4.今回のまとめ

試作品製作時のデザインと設計はどちらが先?

さて、試作品製作はものづくりをする上で欠かせないプロセスです。新たな商品を開発する際には、コストをはじき出し製造方法を決定しなくてはいけません。また、実際の見た目だけでなく動作確認なども必要であるため、試作品製作は非常に重要です。この試作品製作において、基本的にデザインと設計はどちらが先に行われるのでしょうか。
一般的には、その商品が持つデザインコンセプトなどが決められ、そのコンセプトを満たす仕様が設計されていきます。つまり、デザインが決まってから、それに沿った設計が行われるという流れになります。デザインと設計は別段階ではありますが、一貫したコンセプトの下に行われる必要がある点にも注意しなければいけません。

試作品製作時のデザインとはどの部分?

では、試作品製作時のデザインとは、商品開発におけるどの部分にあたるのかをご紹介します。デザインというと、消費者が目にする外観のデザインだけに着目しがちです。しかし、ここではそれだけにはとどまりません。商品の製造工程を考えた作りやすいデザインであることや、それを使用する消費者が使いやすいデザインであり、かつ価格に納得ができるデザインであることが求められます。そのためには、商品開発しようとしているものが、誰が、どこで、いつ、どのように使うものかを具体的に想定する必要があります。
これらを考えて、どのような仕様にするのかといった機能面を考えていくソフト部分がデザインということになります。まとめると、コンセプトや外観とそれに見合った機能を決定する部分が試作品製作時のデザインにあたります。

試作品製作時の設計とはどの部分?

次に、試作品製作時における設計についてご紹介します。設計は、先にデザインしたものを商品という「カタチ」に確立することを目的として行われます。たとえば、細かな部品の設計や部品と部品の接合部分、フタがある場合はその開閉方法に至るまで、デザインではあいまいな部分を詰めていきます。
この設計と試作は切っても切れない関係ともいえるでしょう。設計したものや機能が本当にその材質でいいのか、また、その組み立て方法で実現可能かどうかを確認する試作は欠かすことができない作業です。
もし、不具合がある場合や、コストが高くなる場合は、製造方法を考え直すなど設計をしなおして試作を繰り返す必要があります。同時に決められたデザインとのブレがないか、なども合わせて確認していきます。このようにして最終的に量産できる状態に持っていくために、設計は部品などの配置、構造、製造方法を決めるタイミングを指します。つまり、製品の仕様を実体化するハード的な部分が、試作品製作時の設計といえるでしょう。

今回のまとめ

「デザイン」と「設計」は一見同じと思われがちですが、試作品製作においては別の過程であることが理解いただけたのではないでしょうか?また、両者は商品開発をする上で互いに補い合う部分であり、どちらかが不明確であると商品開発は成功しません。商品開発をする上では、ソフト部分であるデザインだけでなく、それを実現するためのハード部分の仕様についても試作品の製作を行い、確認することが重要です。