試作品製作・商品開発における「インダストリアルデザイン」の概要

2022/02/04
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商品開発を成功させるために欠かせないのが「インダストリアルデザイン」です。なんとなく耳にしたことはあるものの、プロダクトデザインと混同するなど、正確に理解できていない人も多いのではないでしょうか?この記事では試作品製作や商品開発における「インダストリアルデザイン」について解説します。

【目次】
1.商品開発に欠かせないインダストリアルデザインとは?
2.インダストリアルデザインは商品開発のどの段階で使われる?
3.インダストリアルデザインを組み込んだ試作品製作を
4.今回のまとめ

商品開発に欠かせないインダストリアルデザインとは?

まずは、インダストリアルデザインが生まれた背景や概要についてご説明します。インダストリアルデザインは、日本語に訳すと「工業意匠」です。工業デザインとも呼ばれ、工業製品を大量に製作することを前提としたデザインを指します。この言葉は、1920年代のアメリカで生まれました。
インダストリアルデザインの背景として、大量生産かつ大量消費社会への時代の転換が挙げられます。以前は機能性のみが重視されていましたが、売上を伸ばすためには、工業製品の形状や色彩といったデザイン面や使用される材質などを考慮する必要があると考えられるようになったのです。このような経緯で生まれたのが、現在のものづくりに欠かせないインダストリアルデザインです。今や、自動車業界、航空機や船舶製造、家電製品から医療機器、業務用機器に至るまで、インダストリアルデザインが採用されています。
また、インダストリアルデザインはプロダクトデザインの一部です。プロダクトデザインは、市場に売り出される商品全般をデザインすることであり、その中でも工業製品を対象としたものがインダストリアルデザインにあたります。

インダストリアルデザインは商品開発のどの段階で使われる?

では、インダストリアルデザインは商品開発をする上で、どの段階で必要となるのかをご紹介します。商品開発の際には、商品のコンセプトを決めて販売対象となるターゲットを設定し、市場調査を行います。その上で、どのような商品にするのかラフスケッチなどを描いて視覚化し、社内検討などを経て、試作品を製作します。この試作品は一度作れば終わりではありません。品質の確認などを行うなど必要に応じて修正が加えられ、何度か作られることもあります。最終的に量産するための図面が作成され、量産へと移ります。
このようなラフスケッチから試作品製作の過程で、インダストリアルデザインが具体化されていくのです。大量生産を想定しているからこそ、より綿密に製造方法や仕様などをデザインする必要があります。その細部へのこだわりこそが、顧客ロイヤルティ獲得につながるといっても過言ではありません。

インダストリアルデザインを組み込んだ試作品製作を

商品開発をする上で、「試作品製作は不要ではないか?」と考えてしまう方もいるかもしれません。このように考えてしまう方の多くが、コストを気にしがちです。しかし、せっかく売れる可能性のあるインダストリアルデザインを作ったとしても、大量生産時に思わぬ不具合が生じる可能性もあります。そのため、商品開発を成功させるためには、インダストリアルデザインを組み込んだ試作品を製作することをおすすめします。

今回のまとめ

機械化にともない、大量生産が基本となった工業製品では、インダストリアルデザインがいかに綿密に組み込まれているかが非常に重要です。また、それを証明する役割を果たすのが試作品ともいえるのです。これから、商品開発をしたいと考えている方は、その点を踏まえた上で、インダストリアルデザインを作ることが大切です。