試作品・モックアップ製作時、デザインを外注する際に考慮すべき知的財産

2022/02/04
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試作品やモックアップを作る時に、自社でデザインのノウハウを持ち合わせていない場合は、デザインを外注する必要があります。この時に考慮しなければいけないのが「知的財産」です。知的財産は、法律に関連したものであり、考慮しないと大きなトラブルに発展してしまう恐れがあります。今回の記事では、知的財産について解説しますので、外注の際の参考にしてください。

【目次】 
1.知的財産とはどのようなものなのか?
2.外注するデザインに知的財産が含まれる場合がある
3.特許権の共同出願はおすすめできない
4.外注時のトラブルを防ぐにはどうしたらいいのか
5.今回のまとめ

知的財産とはどのようなものなのか?

知的財産とは、人間が頭脳を使って生み出したアイデアや創作物の中で、財産的な価値を持つものを指します。知的財産には、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権などが含まれます。このうち、試作品やモックアップのデザインに関するものは、意匠権・商標権・著作権などが中心です。
知的財産は形がないのが特徴であり、複数の人物や企業が同時に利用できるため、法律用語で「無体物」と呼ばれます。

外注するデザインに知的財産が含まれる場合がある

デザインを外注する際には、業務委託契約を結ぶことが一般的です。契約を結ぶ時に、業務委託契約書を作成しますが、記載する内容の一例として、契約業務内容・委託料の内訳・再委託があるかどうか・知的財産の取り扱い・損害賠償などが挙げられます。ここで、知的財産について考えなくてはいけません。
契約書に沿って業務を進めるうち、デザインに知的財産が発生した場合、その取扱いをどのようにするかは大変難しい問題です。外注先か発注企業かどちらかに帰属させるか、当事者間で協議するかのいずれかで話し合うことが多い傾向にあります。契約書で取り決めをしておけば、スムーズに協議がまとまる可能性が高まります。

特許権の共同出願はおすすめできない

依頼会社と外注先の関係性や話し合いなどによっては、知的財産となったデザインに対して、特許権を共同出願しようという提案が生まれるかもしれません。しかし共同出願は、メリットよりも注意点の方が注目されがちな為、あまりおすすめできません。
メリットには、出願費用の負担軽減や、特許の期限管理を複数の業者で行えるなどがあります。一方で、収益の不公平さ、権利持分譲渡の際の手続き、企業の方向性変更による取引の中止など、慎重に検討しなくてはいけない点の方が多いのです。
可能であれば、出願は1企業が単独で行うと安心です。

外注時のトラブルを防ぐにはどうしたらいいのか

デザインを外注する際に、外注先とのトラブルを防ぐには、秘密保持契約を結んだ上で、業務委託契約の中で、知的財産について明確に記載することが必要です。 さらに問題が起こった時の対処方法を明記し、許可なしに知的財産を活用されないよう、対策を取っておきましょう。

今回のまとめ

知的財産は形がないため、取り扱いに迷うことも多いでしょう。外注先との打ち合わせの中で、知的財産について疑問が出た場合には、専門家である弁理士に相談されることをお勧めします。