新車開発における試作品製作と量産品との区別はどこで付けることができるのか

2022/08/04
column

新製品開発に欠かせないのが、試作品の製作です。新車の開発においては、試作品のことを量産試作(または量産試作車)と呼びます。この量産試作と、実際に販売される量産品の区別はどこで付けるのでしょうか?今回は、新車開発のプロセスにも触れつつ、ポイントを解説します。

新車開発では試作製品のことを量産試作と呼び他の生産と分けられている

量産試作は実際に量産化される体制と同じ方法で行われます。しかし、まだ製品として発表はされる段階ではありません。
新車開発は、販売開始する3年ほど前から始まります。新車を企画し、デザインや品質、コストなどをチェックする「開発」を経て、実際の販売開始時のことを考えて量産体制を整える「生産準備」の段階へと進んでいきます。
量産試作が作られるのは生産準備の段階であり、新車開発プロセスの中でもかなり最終段階に近いステップといえます。量産試作を作る主な目的は、その車を量産するための設備や作業場に問題はないかどうかを洗い出すことです。そのため、自動車工場では実際の量産体制と同じように、本番さながらに製作されます。
量産試作は生産試作車と呼ぶこともあるほか、先行量産という意味でパイロットプロダクションとも呼ぶ自動車メーカーもあります。いずれにしても、量産試作はすでに発売されている量産車の生産とは分けて考えられているのです。

試作品製作で量産品になり得るかどうかは試作イベントで確認を行う 

生産準備の段階で、その車が本当に量産できるかどうかを確かめるのは「試作イベント」というステップです。この試作イベントで、その新車を量産するにあたって部品や生産ラインなどに問題がないかを評価、確認します。試作イベントの流れを見ていきましょう。
新車の量産開始よりおおよそ2年前から1年前にかけての試作車の生産が行われ、その際量産で実際に使われる規格のものではない試作部品も使用されます。
そして、量産開始のおおよそ1年前に性能確認車が作られ、設計通りの性能が備わっているのかどうかを確認。性能確認車には、試作の部品ではなく量産品と同じ規格、品質で製造する部品「本型品」が使われるのです。

試作イベントを経て新車の量産が始まる

性能確認が終われば、次に量産試作です。量産試作も本型品を使って製造します。量産試作は通常、1次試作、2次試作に分けて数か月間かかるのです。量産試作が終わり、量産開始の1か月前に品質確認という最終チェックをクリアすれば、実際の量産へと移行します。
このように、量産試作はあくまで試作品であり、量産体制や品質などが発売できる水準をクリアしているかどうかを確認するために試作イベントで使われるものです。したがって、実際に販売する量産品(量産車)とは異なります。

今回のまとめ

新車の開発においては、試作品のことを量産試作(または量産試作車)と呼びます。新車開発は、販売開始する3年ほど前から始まるのです。新車を企画し、デザインや品質、コストなどをチェックする「開発」を経て、実際の販売開始時のことを考えて量産体制を整える「生産準備」の段階へと進んでいきます。
量産試作が作られるのは生産準備の段階であり、新車開発プロセスの中でもかなり最終段階に近いステップです。量産試作はすでに発売されている量産車の生産とは分けて考えられています。
量産試作はあくまで試作品であり、量産体制や品質などが発売できる水準をクリアしているかどうかを確認するために試作イベントで使われるものです。したがって、実際に販売する量産品(量産車)とは異なる点にご注意ください。