量産化を目指す試作品製作では納品時に何をチェックするべきか

2022/04/12
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量産化を目指す製品の試作品製作において、試作品の納品時にどのような点をチェックすべきなのでしょうか。道筋が分かっていれば、構想の段階から量産化を意識して、より効率的なものづくりが可能です。
今回は、量産化を目指す上で、試作品の納品時にチェックすべきことについて解説します。製品の量産化を目指す方はぜひご覧ください。

 試作品製作後はシミュレーションで足りなかった点を検証する 

試作品製作後は、量産化に向けてシミュレーションが足りなかった点を検証します。
試作品製作は、時間をかけて一つひとつ製作する少量生産ですが、本製造は、試作品と同じ物を効率的かつ大量に生産できる状態にしなければいけません。
少量生産と大量生産を比較すると、製造工法や設計、素材などが異なる場合があるため、少量であれば製作することができたとしても、量産するには複雑すぎたり、コストがかかりすぎたりすることもあり得るでしょう。
そのため、試作品製作後にいきなり大量生産に踏み切るのではなく、生産数を増やして製作し、実際に量産する場合と限りなく同じ環境で検証することをおすすめします。そうすることで、試作品製作の段階ではシミュレーションすることができなかった問題点や課題に気付き、改善につなげることができます。

製作した試作品の「組み立てやすさ」と「安全性」を確認する 

量産を前に試作品をチェックするポイントとして、「組み立てやすさ」と「安全性」があります。それぞれについて見ていきましょう。

組み立てやすさのチェック

量産を行うにあたり、製品の組み立てやすさは重要なポイントです。
製品を量産する際、設計者が自ら組み立てることはほとんどなく、組み立てを専門とする部署で工程表などを見ながら作業が行われます。
組み立てやすさのポイントは、間違いなく組み立てられる、作業者の危険や負担がない、何度も繰り返して作業できるかがポイントです。具体的には、本来組み合わせるべきでない部品が固定できてしまう構造ではないか、何度も繰り返す内に起きるミスがないかなどを検証します。
組み立てやすさは、利便性だけでなく、製品の品質維持や生産性の向上にも繋がります。

安全性のチェック

安全性のチェックは、商品化するにあたり大変重要なポイントだといえます。安全性というのは、使用する人や周辺の物に危害を与えることがないことです。
安全性を証明する規格は法律で規制されている場合があり、検証はそれに則って行わなければなりません。製品が取得すべき認証を早期に把握し、間違った方法で検証を行わないように、あらかじめ道筋を立てておくとよいでしょう。
しかしながら、試作品を検証する段階で安全性の問題が発覚し、再度設計し直すのはコストも時間もかかります。そのため、製品の構想段階から専門の検査機関のアドバイスを受け、検査をクリアするための問題点を解消しておくことが、スムーズな製品開発に重要です。

納品までにどのくらいの期間がかかるのかをチェックする

量産にあたって製造方法や工程、安全性などに問題がないことを確認した後、製造にかかる期間を検証します。
本製造の期間を把握しておかなければ、顧客に具体的な納期を伝えることができません。また、商品として売り出す際に短い納期を提示することが出来れば、競合他社との差別化を図ることも可能です。
納品までにかかる具体的な期間を把握し、必要に応じて更なる生産性向上のための新機材の導入や、製造工程の再検討を行います。

今回のまとめ

今回は、試作品製作後から量産化を実現するために確認すべきポイントをご紹介しました。試作品から量産に至るまで、多くのチェックポイントがあります。
製品開発の最終段階にさしかかった時に致命的なミスに気づいて検証をやり直すことになると、時間もコストも大幅にかかってしまいかねません。量産化に必要な条件を常に想定することが、質の高い製品をスムーズに世に送り出すための鍵だといえるでしょう。