自動車試作を行う上で知っておきたいエルコーレ・スパーダが手がけたカーデザイン

2022/03/17
column

自動車製作では、一度完成すると容易に修正ができないため試作段階での綿密な検討が大切になります。特にカーデザインは自動車の印象を決定づける大事な要素のため、名作と呼ばれるデザインから技術を学ぶのも必要です。そこで今回は、自動車試作を行う上で知っておきたいエルコーレ・スパーダが手がけたカーデザインについて紹介していきます。

【目次】 
1.エルコーレ・スパーダとは
2.エルコーレ・スパーダが手がけたカーデザイン
3.エルコーレ・スパーダの個性的かつ洗練されたデザイン
4.今回のまとめ

エルコーレ・スパーダとは

エルコーレ・スパーダは、デザイナーとしてイタリアの自動車デザイン工房「カロッツェリア」の全盛期だった1960年代を支えてきました。世界的なレースで駆け抜けるスポーツカーデザインを手がけたことで有名で、マルチェロ・ガンディーニやジョルジェット・ジウジアーロなどとともに巨匠に数えられることも多い人物です。
1960年からザガートのチーフスタイリストに就任して次々と作品を製作し、1970年からはフォードと契約、1976年からはBMWに移籍した経歴を辿っても活躍ぶりがわかります。1993年以降はフリーランスになり、息子とデザインスタジオを立ち上げて幅広い活動を続けています。

エルコーレ・スパーダが手がけたカーデザイン

エルコーレ・スパーダが手がけたカーデザインは名作ぞろいで、特に「アストンマーチンDB4 GT」「アルファロメオ・ジュリアTZ」「アルファロメオTZ2」は彼の特徴がよく表れています。アストンマーチンDB4 GTはフェラーリに負けないために開発された自動車で、その無駄な装飾のない端麗なデザインから“歴史上もっとも美しいスポーツカー”とも呼ばれています。アルファロメオTZは量産車ベースで設計されたレーシングカーで、数多くのバリエーションが開発されレースで活躍してきました。
その中でもアルファロメオ・ジュリアTZとアルファロメオTZ2は彼がデザインした代表的なレーシングカーであり、現代においても理想的な形状と人気を集めています。

エルコーレ・スパーダの個性的かつ洗練されたデザイン

エルコーレ・スパーダのカーデザインは個性的かつ洗練されたものばかりで、容易に真似はできません。彼の唯一無二のデザイン性が発揮されているのがコーダ・トロンカと呼ばれるデザイン手法です。コーダ・トロンカは彼が発案したものであり、コーダ=“尾”、トロンカ=“切る”の言葉の通り、車体の後方をざっくりと切ったような見た目になっています。
デザインの斬新さだけでなく、空気力学からしてもボディの流れに合わせて気流が収束する無駄のない作りであり、アルファロメオ・ジュリアTZやアルファロメオ・ジュリアSSは典型例です。レーシングカーという速さが追及される自動車づくりの中で機能美とデザイン性を両立させていった点は彼の天才的センスといえます。

今回のまとめ

今回は自動車試作を行う上で知っておきたいエルコーレ・スパーダが手がけたカーデザインについて紹介してきました。レーシングカーに見て取れるエルコーレ・スパーダのデザインは、どれも無駄がない洗練されたデザインです。アルファロメオTZ系のカーデザインなど、彼の製作したモデルから生かせる点は多いでしょう。自動車試作を検討している人はぜひ参考にしてみてください。