企業がものづくりを行う際に行うコンセプトの決定手順

2022/01/07
column

コンセプトとは、概念もしくは観念などの意味を持っており、ものづくりを行う上での基本的な考え方や観点などを指しています。商品開発の最初に行われるもので、誰に対して何を作るのかを明確にするのがコンセプトですが、コンセプトを決めるにはどのような手順を踏むと良いのでしょうか。今回はコンセプトを決める手順について解説しますので、ものづくりに活用するため理解を深めましょう。

【目次】 
1.コンセプトの決定はなぜ重要なのか
2.コンセプト決定に必要なコンセプトワークの実施手順とは
3.今回のまとめ

コンセプトの決定はなぜ重要なのか

コンセプトは、ものづくりを行うテーマや内容などを、どのような方向性で進めるのかを統一し明確にする、いわば「企画の骨組み」の役割を果たします。音楽であれば楽譜、車であればカーナビのような役割を持つものであり、骨組みがないと組織内・社内でものづくりに対する認識や目的を共通化させるのは困難といえます。コンセプトが決まらないと、誰をターゲットにしてどのような製品を作りたいかがはっきり決められず、プロジェクトの進行が滞ってしまいます。
コンセプトと似た言葉に「テーマ」がありますが、この2つが持つ意味は明確に異なります。コンセプトが、先述した企画の骨組みであるのに対し、テーマはタイトル・主題との意味を持っているためです。テーマ実現に向けた手段を考えるためにコンセプトを組み立てる、と理解しておきましょう。

コンセプト決定に必要なコンセプトワークの実施手順とは

コンセプトワークとは、ものづくりに向けたコンセプトを設定するための軸となる作業です。例えば、シンプルで使いやすい製品を作りたいと思ったら、操作ボタンをできるだけ少なくしようと言った方向性を指します。コンセプトが明確でない製品は、顧客にとって魅力的に感じられません。
コンセプトワークのファーストステップは、「3C分析」という作業です。Customer(市場・顧客が求めているもの)・ Competitor(競合に勝つための手段)・Company(自社の強みを見つける)の3要素を分析し、消費者が求めている製品を作るのに必要な情報を集めます。その次に行う作業は「抽象化」といい、制作する製品をあらゆる角度から見て、コンセプトとして活かしたい面を決定します。例えば自動車であれば、買い物のための移動手段・子供の習い事の送り迎え・通勤手段・レジャー目的での使用など、使用目的は人によってさまざまです。
この中から、どの点を最重視したいのかを選びます。最後に、コンセプトとして伝えたい事柄を言語化します。言語化するには、形容詞+名詞で表したり、実態と概念を組み合わせた言語にしたりすると、製品の方向性がより明確に伝えられます。これまで発売され、大ヒットした製品のコンセプトを例に挙げてみましょう。

iPod…「1000曲を ポケットに」
ダイソン…「吸引力の落ちないただ一つの掃除機」
やきまる…「スモークレス焼肉グリル」

このように、コンセプトは人の目を引いたり心に留まる言葉遣いを用いたりして、製品が世に送り出された際に、特徴やメリットなどを伝える役割を果たしているのです。

今回のまとめ

コンセプトは、製品が消費者に受け入れられるかを左右する、大事な要素のひとつです。今回紹介した手順を参考にしていただき、質の高い製品に合ったコンセプトづくりを行っていきましょう。