試作品・モックアップ製作は品質向上・安全配慮のために必要不可欠です

2021/07/21
column

商品開発を行う際は、デザインや使用感を検討することも大切ですが、その他にも品質向上や安全配慮、製造段階の効率性、コストなど様々なことを考慮する必要があります。特に、医療や自動車、航空など機器や部品の欠陥が人命に関わる業界では、試作品でのより細かな検証が必要です。
そこで今回は、試作品・モックアップで品質向上・安全性を考慮することの重要性についてお伝えします。

【目次】
1.販売物としてものづくりを行う上で把握しておくべき製造物責任法
2.目的に応じた試作品作りを行うことの重要性
3.試作品検査の重要性
4.今回のまとめ

販売物としてものづくりを行う上で把握しておくべき製造物責任法

個人で私的にものづくりを行うことは自由ですが、商品として製作物を販売する場合は「製造物責任法」に則ってもの作りを行う必要があります。
製造物責任法とは、商品の設計に問題がある場合や、商品が設計・仕様どおりに製造されなかった場合、消費者に対して商品の危険性に関する適切な情報を与えなかった場合に、製造業者に損害賠償が追求される法規です。万一、商品の欠陥によって消費者に何らかの損害が生じた場合は、製造者に対して損害賠償責任を課せられる可能性があります。そのため、企業や個人が販売物としてものづくりを行う上では、欠陥が生じないよう品質や安全性を高めることがとても重要です。
なお、商品開発時には、商品の欠陥や品質、安全性以外にも、著作権や製造時の廃棄物など様々なことに配慮する必要があります。

目的に応じた試作品作りを行うことの重要性

販売物として一定の品質や安全性を確保するためには、設計図の精度が目標値を満たすようコンピュータでシミュレーション(CAE解析)すると同時に、実際の使用感などを検討するために試作品を製作することが大切です。試作品製作においては、最低限の機能を検討する「原理モデル」や見た目を検討する「デザインモデル」、さらに細かく内部構造や性能などを検討する「性能検討用モデル」などを目的に応じて製作することが一般的です。
初めから完成形を作るのではなく、段階に応じた試作品で機能や見た目、性能などを検討することにより、先の工程からの後戻りなく、効率的に品質や安全性を高めることができます。

試作品検査の重要性

商品の品質や安全性を高めるためには、商品の使用目的や使用環境から想定される課題を洗い出し、耐久性や強度、耐熱性、耐火性などを検討するためのテストを行う必要があります。また、部品やユニット同士を組み付ける際にズレがあると品質や安全性を損なうため、コンマ1ミリ単位で細かな調整を行うことが大切です。
なお、部品やユニットごとで複数の外注先に発注し、組み付け時に不具合が生じた場合は修正に時間を要する可能性があるため、余裕を持って計画的に発注することをお勧めします。

今回のまとめ

商品として製作物を販売する際は製造物責任法に則ってもの作りを行う必要があり、万一、商品の欠陥によって消費者に何らかの損害が生じた場合は、製造者に対して損害賠償責任が追求される可能性があります。そのため、企業や個人が販売物としてものづくりを行う上では、欠陥が生じないよう品質や安全性を高めることがとても重要です。販売物として一定の品質や安全性を確保するためには、実際の使用感などを検討するために試作品での検討・検査を行うことが大切です。目的に応じた試作品作りや検査により、先の工程からの後戻りなく、効率的に品質や安全性を高めることができます。