ものづくりにおける試作品・モックアップ製作技術の発展

2021/07/20
column

人類によるものづくりは、狩りや調理のために打製石器が作られたことが起源と言われています。その後、文明が発展するにつれ製品開発のための試作品作りが行われ始め、現在ではより効率的に製品開発を行うことができるようになりました。
そこで今回は、ものづくりにおける試作品・モックアップ製作技術の発展についてお伝えします。

【目次】
1.試作品・モックアップ製作で用いられる技術の発展
2. 3Dプリンター技術の出現と個人用としての需要拡大
3.試作品・モックアップ製作技術の今後
4.今回のまとめ

試作品・モックアップ製作で用いられる技術の発展

試作品やモックアップの製作は、人の手作業で木材を削ったり、粘土を変形させて形作る方法が主に用いられてきました。その後、IT化が進むにつれてコンピュータで設計した3Dデータや加工プログラムを用いた機械での試作品製作が行われ始めます。
0から人の手で形作ることは非常に多くの時間とコストを要するため、現在では機械で材料を削り出す「切削」や、材料を特殊な技術で固める「3Dプリンター」の技術でおおよその形を作り、その後、人の手で微調整して試作品やモックアップを製作することがほとんどです。

3Dプリンター技術の出現と個人用としての需要拡大

現在、試作品製作で活用されている3Dプリンターの技術は、日本で1980年代に発明された「光造形装置」が前身です。当初3Dプリンターは、非常に高価であり特殊な技術で制御する必要がありましたが、2012年に発売された個人・家庭向けの3Dプリンター「MAKERS」の出現により身近な存在となりました。
また、これまで用いられてきた3Dプリンター技術の基本特許の有効期限切れにより、多くの企業が3Dプリンター事業に参入できるようになり、3Dプリンターブームが訪れます。MAKERSの出現や3Dプリンターブームをきっかけに、「ものづくりは企業や職人が行うもの」という人々の考え方を覆し、個人によるものづくりの需要は高まり続けています。

試作品・モックアップ製作技術の今後

現在では、企業による製品開発サイクルが年々早まっており、試作品の製作期間を短縮するために様々な技術が開発されています。中でも、3DCGや3Dスキャナ、VR(バーチャルリアリティ)の技術は発展し続けており、製品開発における様々な検討をコンピュータ上で行うことができるようになりました。
しかし、コンピュータによるシミュレーション技術がいくら発展しても、実際のものとして触れてみると使用感やサイズ感などがイメージと異なる場合も多く、品質をより高めるための造形技術も向上し続けています。例えば、上述した3Dプリンターの技術は、より精密な造形を実現することができるようになるなど、今後もデジタルの技術と造形技術は共に発展し続けると考えられます。

今回のまとめ

試作品やモックアップの製作は、人の手作業で木材を削る方法や、粘土を変形する方法が主に用いられてきましたが、IT化が進むにつれ、コンピュータで作成した3Dデータ・加工プログラムを用いた切削加工や、3Dプリンターを活用した造形方法が用いられ始めます。現在、試作品・モックアップ製作を行う上で主に用いられている3Dプリンターの技術は、1980年代に開発された「光造形装置」が前身であり、2012年に発売された個人・家庭向けの3Dプリンター「MAKERS」の出現により身近な存在となりました。また、3DCGや3Dスキャナ、VR(バーチャルリアリティ)の技術と同時に造形技術も発展し続けており、今後より効率的かつ高品質なものづくりを行うことができるようになると予想されます。