試作品製作のオートクレーブ成型で素材として使われているCFRPとは?

2022/08/09
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CFRPとは複合材料の一種です。プラスチックに炭素繊維を強化剤として加えており、軽くて強いことが特徴です。ここでは、CFRPとはどんな材料なのか、どのような使われ方や加工が行われるのか解説します。

カーボン素材であるCFRPの特徴

CFRPとはCarbon Fiber Reinforced Plasticsの頭文字をとった略語。FRPというのがプラスチックに繊維を加えた複合材料のことで、その中でもCarbon、つまり、炭素繊維を加えたものがCFRPです。CFRPは軽くて強いのが特徴であり、強度は鉄やアルミより強く、重さは鉄の25%程度。さらに、プラスチックなので錆びません。酸やアルカリにも強く耐薬品性においても優れています。
これらの特徴から、自動車やバイクなど日常で使う製品を始め、医療分野やドローンなどの先端技術分野においても利用されています。また、振動減衰性にも優れているため、自動車やモーターなどの製品において金属より優れた製品ができます。金属よりX線の透過性が高いことも特徴であり、例えば医療現場において被曝量を下げることが可能です。

試作品製作の素材としてCFRPが採用される理由

軽金属、合金、セラミックスなど様々な複合材料が存在する中、なぜ試作品の作成においてCFRPが採用されているのでしょうか。理由の1つは、オートクレーブ成型では金型が必要ないため、初期コストが抑えられる点。量産が決まっていれば金型を作成した方が良いのですが、金型の作成にはコストがかかるため試作品の場合は適しません。
2つ目の理由は、オートクレーブ成型の自由度の高さです。試作品においてはイメージしているものを形にすることが重要となるため、設計の自由度が高いオートクレーブ成型でCFRPを利用することは、試作品作成に向いていると言えるでしょう。

CFRPの加工・成型方法

CFRPの成型方法は、品質や数量、形状などから最適な方法を選択することが必要です。以下に代表的な成型方法について解説します。

オートクレーブ成型

プリプレグというシート状のカーボンを型に貼り付けて重ねていきます(積層)。高圧下で熱硬化させるため成型サイクルが長くなります。製造コストはかかりますが、設計の自由度が高いためCFRPの特徴を生かした製法です。

オーブン成型

オートクレーブ成型同様プリプレグを利用しますが、加圧せず真空圧で加熱硬化します。品質はオートクレーブ成型に劣りますが、製造コストを抑えられます。

プレス成型

加熱した金型に、プリプレグやSMC基材などの中間基材を入れてプレス機で加圧する成型法です。金型を利用するため、精度の高い成型品を作れます。成型サイクルも速く、大量生産に適した成型法と言えるでしょう。

フィラメントワインディング成型

マンドレルという芯金に液状の樹脂が含浸された炭素繊維トウを巻きつけ、加熱硬化させる成型法です。チューブやタンク形状の成型に適しています。

今回のまとめ

CFRPは軽くて強く、プラスチックなので錆びないなど、金属にはないたくさんの特徴を有した複合材料です。品質を求めるのであればオートクレーブ成型が良いでしょう。目的に合わせた方法を選ぶことをおすすめします。