新型コロナウイルスによる影響は?企業のものづくりの現状の課題と将来の展望

2022/05/19
column

ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ものづくりの環境はかなり変わりました。日本のものづくりの現状においても多くの課題があります。今回は課題を明確にし、環境の変化にも負けないものづくりの将来の展望についても解説します。

新型コロナウイルスによるものづくりの環境変化

2020年明け以降から新型コロナウイルス感染拡大の影響により、生活様式が一変してしまいました。そのなかで事あるごとに問題視されてきたのが経済の停滞です。中国をはじめとしたサプライチェーンが断たれてしまったことにより、ものづくりの環境は大きく変化せざるを得ない状況になりました。
また、世界規模で需要が減少する商品も少なくありません。特に製造業では、外出自粛の影響を色濃く受けました。たとえばマスクや除菌グッズなどをはじめとしたBtoC製品を扱う企業は業績を伸ばすところが多い一方、その原材料などBtoB製品を扱う企業の業績は落ち込む傾向が見られました。
原因としては、既存顧客先の業績悪化による発注の減少と新規顧客獲得のための活動がしにくいという状況が挙げられます。
こういった背景の中、環境の変化に合わせて柔軟に組み替えられるサプライチェーンの仕組みづくり、そして既存顧客に頼るだけでなく、新規顧客獲得に向けての営業・マーケティングをオンライン化する必要性が見えてきたのです。

企業の人手不足と国際競争力不足の影響

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、海外の労働力に期待できなくなり、もともと抱えていた人材不足という問題点も顕著となりました。また、特殊技術の必要な製造業においては、後継者不足が特に大きな問題となっています。
労働生産性に関しては、インターネット技術などIT活用を進めることも可能です。しかしすでに日本は他国と比べてITの導入に遅れを取っており、国際社会での競争で他国に先を越されてしまっています。
今後の課題はIT化も含め、いかに優れた技術を継承していくかということです。

環境の変化に対応するためには人材確保と技術継承による品質保証が欠かせない

新型コロナウイルスの感染拡大の影響も含め、環境は日々変化してきています。製造業では、人材が豊富な海外に製造の拠点を移し、海外の市場への参入が進められている傾向にあります。IT技術を駆使し、技能を習得していない人材でも製造が可能となることで、低コストと製造期間の短縮を実現することができます。
そういった国際競争に打ち勝つために今求められていることは、常に変動する状況に対応できる人材の確保と、低コストでより多くの人材に技術を継承できるシステムの構築です。また、日本品質の担保は必須でしょう。さらにIT技術に対応できる人材も育てていく必要もあります。

今回のまとめ

世界情勢は変化し続けています。特に新型コロナウイルスの感染拡大は世界規模で製造業に大きな打撃を与えました。今回の不景気を乗り越えるためにも、そして今後のいかなる環境変化に対応するためにも、柔軟に組み替えられるサプライチェーンの体制が必要です。
何より、技術を継承する人材不足の問題も、環境の変化に対応して解決していかなければなりません。製造業の将来を考えると、グローバルな視点から積極的にIT人材を確保するとともに、高品質を維持したまま技術を継承し、国際競争に打ち勝てる力を育てていくことが大切です。