自動車試作を行う上で知っておきたい園勲夫が手がけたカーデザイン

2022/03/22
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自動車はデザインが命とも言われるほど、見た目が顧客イメージを大きく左右する要素となっています。しかし空力効果などの走行性能も高めながら、デザイン性を高めていくのは非常に難しいです。過去の名車のデザインを学んでいくことは自動車試作のクオリティを高めるポイントになります。そこで今回は、自動車試作を行う上で知っておきたい園勲夫が手がけたカーデザインについて紹介していきます。

【目次】 
1.園勲夫とはどのような人物か
2.園勲夫が手がけたカーデザイン
3.園勲夫の直線美と存在感のあるデザイン
4.今回のまとめ

園勲夫とはどのような人物か

園勲夫は1944年京都府京都市生まれのデザイナーで、海外に比べて控えめな日本人では珍しい世界的に有名なカーデザイナーです。日本大学芸術学部で工業デザインを修学したのち、日産自動車でカーデザイナーとしてエクステリアデザインを手がけ活躍をしてきました。数多くの自動車を世に送り出してきた人物であり、特に主張が強い印象があるスポーツカーに「控えめで渋い自己主張」を融合させたデザインが彼の象徴的作品です。
1996年に日産を退職してからは絵画の指導などをおこなっています。

園勲夫が手がけたカーデザイン

園勲夫が手がけたカーデザインの中でも1986年登場の「レパード F31」と1989年登場の「フェアレディZ32」は彼の特徴的なデザインであり、日産が販売した代表的な自動車の1つとなった作品です。レパードは高級車として日産から1980年から2000年までの期間で製造されていたパーソナルカーで、F31型系はその2代目にあたります。「アダルトインテリジェンス」のコンセプトで落ち着きあるデザインが人気を集めました。
フェアレディZはクーペタイプのスポーツカーとして日産が製造する自動車で、4代目にあたるZ32型系は1990年代を象徴する新時代のスポーツカーとして登場しました。「獲物を狙う動物」をイメージしてつくられたデザインは、派手さはなくともかっこよさと躍動感のある見た目でカルロス・ゴーン氏の愛車でもありました。
さらにワイド&ローのトレンドデザインを盛り込み大胆なイメージチェンジを果たしたことで、海外のスポーツカーにも引けを取らない美しさを生み出しています。

園勲夫の上質で知的なデザイン

園勲夫のカーデザインは細部までこだわりが光る大人向けなのが特徴であり、高級車に多く採用されています。フェアレディZ32などのスポーツカーでは一目で走行性能を追求したとわかるタイトな仕上がりと、どこかいたずら心を感じさせるような姿が日本のスポーツカーファンの心を鷲づかみにしています。
彼がレパードを特集した雑誌で“知的な趣味のよさを誇れる特注品、つまり並みの量産品とは一線を画する限定品、リミテッドな雰囲気を狙っています。”と語るように控えめな表現方法こそ彼がデザインで高く評価される理由です。イタリアのカーデザインにあるギラギラと威光を放つようなデザインとは異なり、全体的な落ち着きと優等生的デザインに収まらない個性が上質さを生み出しているのです。

今回のまとめ

今回は自動車試作を行う上で知っておきたい園勲夫が手がけたカーデザインについて紹介してきました。1980年代〜90年代に登場した世界に誇る日産自動車をデザインした彼の手腕からは多くの学ぶべきポイントがあります。日本人の性格や特徴に合った情緒あふれるカーデザインは非常に参考になるため、ぜひ自動車試作を検討している人はチェックしてみてください。