自動車のコンセプトモデルの製作工程

2022/03/08
column

自動車が好きな人であればモーターショーの時期が来る度、新型車の発表が楽しみになるでしょう。モーターショーは、さまざまなメーカーのコンセプトモデルが一堂に会する場所です。中には、なぜコンセプトモデルが作られるのか疑問に感じている人もいるでしょう。コンセプトモデルの基礎知識や製作工程などを紹介します。

【目次】
1.コンセプトモデルとは
2.コンセプトモデルの製作工程
3.コンセプトモデルが市販されるケースも
4.今回のまとめ

コンセプトモデルとは

自動車のコンセプトモデルは、モーターショーやショールームに展示する目的で製作される車のことで、「コンセプトカー」「試作車」とも呼ばれます。実際に販売するモデルとは違い、自社のデザインや技術の方向性をアピールするために作られ、自動車メーカーによってさまざまなコンセプトを打ち出していることが特徴です。核心的な技術を取り入れた近未来的なデザインで作られることもあれば、これまでの自動車にはない実験的な要素や遊び心を取り入れたものなどが発表されることもあります。
技術力をアピールする以外にも、市場の反応を確認するためや、新しい車の可能性を消費者に周知するために作られることも珍しくありません。市販することは考えず「こんな車が走っている未来を想像してみよう」という夢を語るために作られる場合もあります。

コンセプトモデルの製作工程

コンセプトモデルは展示を目的としているので、実際には走行できない模型のようなものを作ることが大半ですが、実際に走れるものを作るケースもあります。企業によって目指す形は異なるものの、おおまかな製作工程としてはコンセプトを決めることから始まり、アイデアをラフスケッチや図面などに落とし込む作業をします。企業の今後の方向性を示すことになるので、より優れたものを発表するために、社内コンペを行う企業も少なくありません。
いくつかのアイデア候補を絞ってコンセプトにマッチするデザインを作成し、デザインをもとに試作品を製作していきます。パーツ同士のかみ合わせや製造工数などの計算をしながら設計を行い、素材の加工を経て組み上げや塗装などの工程へ移ります。
コンセプトモデルを自社で作る場合もあれば、試作メーカーに依頼する場合もあります。量産では作れない形状を取り入れたものを作りたい場合、製造工法やプロセスなどを熟知した試作メーカーに依頼することが一般的です。

コンセプトモデルが市販されるケースも

技術的には可能でも消費者に受け入れられるか分からない状況で、世間の様子をうかがうためにコンセプトモデルが作られるケースもあります。モーターショーに出展した結果、消費者からのリアクションが良い場合、販売をするケースもゼロではありません。量産化ができるコンセプトカーとして作られたものであれば、実際に販売されることもあるのです。一口にコンセプトカーと言っても、実際には「売らないもの」「売るかどうか微妙なもの」「販売を目的としたもの」に分けられると考えてよいでしょう。
モーターショーに出した結果、評判が良くなければ販売を見送らせるケースもあります。また、発表時は量産化が難しかったとしても、時が経つとともに技術力が向上し、新型車として売り出されるという可能性もなくはないのです。

今回のまとめ

コンセプトモデルは実際に販売されるものと、販売を目的としていないものに分けられます。後者は企業の方向性や技術力などをアピールする意味合いが強いです。コンセプトモデルであっても、モーターショーに出展した際の消費者の反応次第で販売にこぎつけるものもあります。いずれにしても、自社の魅力や可能性をアピールするために製作されるので力を入れる企業が大半です。コンセプトモデルはスケッチや図面をもとに設計し、素材の切り出しや加工などを行い、塗装や組み上げの作業に移っていきます。自社で作れない場合は試作メーカーに依頼するケースが少なくありません。