ものづくりにおいて考慮すべきエコ・デザインとは

2021/12/22
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エコ・デザインという言葉を耳にするようになって久しいが、どういう定義があるのだろう?ものづくりをしていく上で、エコ・デザインをどのように取り入れればいいの?昨今よく耳にする言葉ではありますが、きっちり理解できていない方も多いのではないでしょうか。身近なものでエコ・デザインを取り入れている企業の商品や気になるエコ・デザイン(ErP)指令について分かりやすく解説します。

【目次】
1.エコ・デザインとその定義とは?
2.エコ・デザインを導入した商品
3.エコ・デザイン(ErP)指令とは?
4.今回のまとめ

エコ・デザインとその定義とは?

エコ・デザインは、製品を設計する際に環境に配慮して行うことを指します。ここでいう製品とは、消費者が購入する商品や利用するサービス自体だけに限ったことではありません。製品が作り出され、消費者の元に届けられ、消費者が利用し、最終的に廃棄されるまでのライフサイクルすべての段階において、環境に配慮した企画・設計が、エコ・デザインに該当します。つまり、製品を作るための資材の調達、製品が作られる製造工程、物流システム、不用品として廃棄されるまでのすべてのステージを含みます。
デザイン対象となるのは、自然環境はもちろん、工業製品から建築物、都市開発、提供するサービスに至るまで地球上に存在するものすべて。国連環境計画(UNEP)が推奨するエコ・デザインの定義は8つあります。
1つ目は、これまでにない新しい製品であること。
2つ目は、使用する原材料を環境に負荷が少ないものにすること。
3つ目は、できるだけ原材料の使用料を最小限にすること。
4つ目は、製造時に使用する電気利用など環境負荷を最低限にすること。
5つ目は、流通過程で効率を考えた運送システムを確立するなどエネルギー消費を抑制すること。
6つ目は、製品を使用する際に発生する環境への負荷、たとえば電気使用量が少なくするなど、最小限にすること。
7つ目は、製品の寿命を伸ばすこと。
8つ目は、廃棄時に有害物質を出さないなど最適な処理をシステム化することです。

エコ・デザインを導入した商品

では、具体的にエコ・デザインを導入して作られた製品の例をいくつかご紹介しましょう。分かりやすく導入しすい例としてパッケージを従来のものからエコ・デザインに変えるという例が多く用いられています。
たとえば、ネスレ日本が発売している「キットカット」の外装袋をプラスチックから紙に切り替え、廃プラスチック削減を図った例があります。また、時計のシチズンが発売している「エコ・ドライブ」を導入した時計では、電池ではなく、光を動力として動くため、電池交換が不要に。
家電では、ダイソンのサイクロン型掃除機がエコ・デザインです。従来の紙パックを使用しないことで環境負荷に貢献しています。東京五輪の選手村で使用された段ボールベッドもエコ・デザインです。組み立て前はコンパクトなので、物流の効率化にも役立ちます。廃棄時には一般ゴミとして処分できる点もエコ・デザイン仕様といえるでしょう。このように、身近なところにエコ・デザインを考慮したものづくりはたくさんあります。

エコ・デザイン(ErP)指令とは?

最後に知っておきたいのが、2021年7月1日に適用されたエコ・デザイン(ErP)指令です。ErP指令では、省エネ促進を目的にエコ・デザインを一定のエネルギーを使用する製品に義務付けた規制です。該当するのはテレビ、家庭用の冷蔵庫、食器洗い機、洗濯機、照明の他、オフィス用の照明や街路灯、モータ、待機電力、充電器や外部電源、サーキュレーター、簡易型セットトップボックスなどが該当します。
対象の製品をEU域内市場に流通させる場合は、欧州連合加盟国の基準を満たしていることを証明するCEマークの表示が義務化されているため、注意が必要です。

今回のまとめ

ものづくりにおいてエコ・デザインを採用していることは、環境に配慮している企業であるという企業イメージを高める効果が期待できるでしょう。また、販売市場を国内だけにとどまらず海外での販売を視野に入れている場合は、エコ・デザイン(ErP)指令で指定されている製品だけにとどまらず、積極的にエコ・デザインを導入することが市場価値を高める秘訣にもなるでしょう。