現代のプロダクト・商品開発において欠かせないITとの繋がり

2021/12/13
column

現代社会では、ITという言葉を見たり聞いたりする機会が以前よりも格段に増えたかと思います。普段の生活や仕事の中では、ITを意識することは少ないかもしれません。ただ、気づかないところでITと繋がっているシーンは数多く、これは製造業における商品開発においても同様です。どのような繋がりがあるのか、今回の記事で見ていきましょう。

【目次】 
1.製造業にIT導入が進まない背景とは
2.製造業こそIT導入が重要
3.商品開発にITを導入した事例
4.今回のまとめ

製造業にIT導入が進まない背景とは

IT とは「Information Technology」の略語であり、直訳では「情報技術」を意味しています。今まで手作業で行なっていた作業や業務をデジタルに置き換え、作業の効率化を図ることが目的です。製造業においては、生産工程の自動化や効率化などが挙げられますが、日本の製造業ではITの導入が諸外国に比べ大幅に遅れています。要因として考えられるひとつは、三現主義(現地・現物・現実)が重視されてきたことです。これまで、人の力でモノづくりを行ってきた素晴らしい実績が、皮肉にも現場へのIT導入を阻んでいるのです。
さらに、日本の製造業の大半を占める中小企業では、コストとの兼ね合いでIT導入に消極的な姿勢が多く見られます。

製造業こそIT導入が重要

ITの導入は、現場にパソコンさえあればできるものではありません。また、手書きの文章をパソコンで打ち替えるだけの作業も、IT活用とは言えないのです。経済産業省では「攻めの IT活用」を提唱し、IT導入の促進を行っています。
製造業や商品開発への導入で大いに活用が期待されるITには、次のようなものがあります。

SCM(サプライチェーン管理)

自社と、企業グループおよび取引先企業の間で、受発注や在庫管理などの情報が共有できるシステムです。PDM(製品データ管理)と連携し、製品の企画・生産・販売・廃棄に渡るサイクルの管理が注目されています。

PDM(製品データ管理)

製品データの一元管理ができるようになるシステムです。製造工程や部門ごとにデータを所有するのではなく、共有・連携することで生産性の向上が見込めます。

PLM(製品ライフサイクル管理)

PDMにより管理されたデータを活用し、製品のサイクルを一元管理する機能です。変更管理・権限管理・構成管理・追跡性/関連の管理の4つが中心となっており、組立型製造業で多く利用されています。近年、PLMの重要性が再認識され、他の業務システムとの連携を積極的に進める企業が増えています。

商品開発にITを導入した事例

製造業の中で、商品開発にITを導入し、成功した事例を紹介します。

キリンビールの「醸造匠AI」

キリンビールは、2017年に「醸造匠AI」を開発しました。当初から搭載されていた試作結果予想機能にレシピ探索機能を追加し、 これまでにない味のビールを効率的に作ることが期待されています。

サッポロビールと日本IBMによる新たな商品開発

サッポロビールでは、日本IBMの支援を受けることで、技術者の熟練技術をAI技術に活用し、技術の伝承や新商品のレシピの考案が可能になると見込まれています。人間では考えつかない創造性のあるレシピが生み出されることが期待されています。

今回のまとめ

製造業とIT 技術の融合により、人手不足の解消や新商品の開発に向けて、大きく前進することができます。企業の規模に関わらず、積極的なIT導入を検討していきたいものです。