試作品・モックアップ製作段階で行うデザインとは

2021/12/08
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ものづくりにおいて、試作品やモックアップの製作は、実用後の製品の量産に欠かせない工程です。その際、試作品のデザインは、製品がユーザーに与える印象を大きく左右します。また、デザインに不具合があると、試作のし直しになる場合もあるため、慎重に進める必要があります。試作品・モックアップのデザインについて、今回の記事で紹介します。

【目次】 
1.試作品におけるデザインとは
2.試作品のデザインに不具合があるとどうなるのか?
3.デザインモデルの製作工程は?
4.今回のまとめ

試作品におけるデザインとは

試作品には、大きく分けてデザインモデル(モックアップ)とワーキングモデルの2種類があげられます。デザインモデルは、製品の完成イメージを把握し、展示会などで使われるケースが多くなっています。
これに対して、ワーキングモデルは形状や機能を検証し、確認する目的で作られます。試作品を、量産によって商品化したいのであれば、デザインモデルは重要なポイントを占めるのです。デザインによっては、量産化に向いていないものもあるため、試作の段階で見極める必要があります。

試作品のデザインに不具合があるとどうなるのか?

試作段階でのデザインモデルに不具合があると、まず不具合が生じた箇所を調べる必要があります。そのままのデザインでは、製品の機能が果たせないようであれば、設計変更などの改善を行ったり、場合によっては再度試作が必要なケースもあるでしょう。このとき、問題点を明確にせず、そのまま進めてしまうと、さらなる不具合が発生するおそれがあるうえ、何度も試作品を作ることでコストが大幅に増大してしまいます。
試作を重ね、実際に製品として問題ないと認められれば、製品の特性により量産するのか少数の生産ルートを形成するのか、検討する必要があるでしょう。

デザインモデルの製作工程は?

デザインモデル(モックアップ)における一般的な工程を、簡単に説明します。
まず、製品の用途やサイズ・デザイン・表面加工の仕様などを打ち合わせ、具体的な製品のイメージを決めます。
次に、試作品をデジタル設計しますが、このときCADを用いて3Dで設計するのが一般的です。2Dよりも、完成品のイメージがつかみやすく、実際の動きも把握できるメリットがあるためです。設計が完了したら、それを基に加工を行います。製品の種類・サイズなどに併せて、見た目・質感・強度など、試作品であってもできるだけ本製品に近づけることが重要です。
試作品ができあがったら、パーツを組み立てて動作確認を行います。デザインモデルを製作することで、おおまかなコストが分かる・生産技術の向上が見込める・効率の良い製造方法が検討できるなどのメリットがあります。
また、ボタンの押し心地やグリップの握り心地などを検証できるのは、本製品に近づけて作るデザインモデルならではの活用方法です。

今回のまとめ

モックアップを含めた試作品の製作で、デザインを重視するのには、本製品のスムーズな生産につなげるという重要な目的があります。また、描いている製品を忠実に作るためにも、試作品が果たす役割はとても大きいものです。そのために、試作品を作り始める段階で、細かい打ち合わせを何度も行い、希望をしっかり伝えるようにしましょう。