3Dプリンターが得意とする試作品・モックアップの形状

2021/09/16
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3Dプリンターは、迅速な試作品製作(ラピッドプロトタイピング)を行うことを得意としています。また、材料を削って造形物を形作る切削などの除去加工とは異なり、3Dプリンターは0から材料を積み重ねて作り上げる付加加工のため、内部構造の複雑なものや形状が特殊なものも迅速に作り上げることができます。このように万能なモノづくり技術として注目されている3Dプリンターですが、実際には不得意な造形もあります。
そこで今回は、3Dプリンターが得意とする試作品・モックアップの形状についてお伝えします。

【目次】
1.3Dプリンターの技術と得意な造形
2.3Dプリンターの苦手な造形
3.今回のまとめ

3Dプリンターの技術と得意な造形

3Dプリンターは、熱や紫外線で硬化する樹脂材料や金属材料を一層ずつ固め、積み重ねることで物の形を造形します。3Dプリンターには、光造形や粉末造形など様々な造形方法があり、使用したい材料や精度、コストなどに応じて技術が使い分けられますが、どの技術においても、3Dデータを用いて造形を行います。3Dデータをもとに0から材料を積み重ねることによって造形するため、切削や金型での製作では難しい場合も迅速に製作することができます。
例えば、軽量化のため内部がメッシュ構造の物や、金型からそのままの状態で取り出すことが難しいフックや凹みのあるアンダー形状、複数の部品が一体化した形状などを一度の造形で実現することができます。また、樹脂や金属など、使用する材料によって柔軟性や強度、耐久性、耐熱性などを持たせることができます。

3Dプリンターの活用例

上述したとおり、3Dプリンターは複雑な構造を持つ物の迅速な造形を得意としており、試作品やモックアップ製作に利用されます。また、材料や工法によって様々な性能を持たせることができるため、実際に使用される製品や部品としても活用されており、工業製品はもちろん、医療用製品、建築模型、モニュメント、フィギュアなど様々な業界で活用されています。
また、量産・小ロット生産用の型や、パーツの加工・組み立て・検査などを行う際に使用する治具としても利用されています。

3Dプリンターの苦手な造形

3Dプリンターは、非常に様々な形状の物を造形することができますが、一層ずつ材料を硬化させて積み重ねる造形方法のため、表面に段差が生じてしまい、切削や金型を使用した造形と比較して高い精度を出すことに関しては課題があります。3Dプリンターの中でも粉末造形は、造形ステージに粉末状の樹脂や金属を敷き詰めて造形するため、完成後は粉末が表面に付着してザラザラしているため、研磨などを行って調整する必要があります。

今回のまとめ

3Dプリンターは、3Dデータをもとに0から材料を積み重ねることで造形することができるため、切削や金型を用いた造形では難しい造形も迅速に製作することができます。例えば、軽量化のため内部がメッシュ構造の物や、金型からそのままの状態で取り出すことが難しいフックや凹みのあるアンダー形状、複数の部品が一体化した形状などを一度の造形で実現することができます。また、樹脂や金属など、使用する材料によって柔軟性や強度、耐久性、耐熱性などを持たせることができ、工業製品はもちろん、医療用製品、建築模型やモニュメント、フィギュアなどの造形に活用されています。そのほかにも、量産や小ロット生産用の型や、パーツの加工・組み立て・検査などを行う際に使用する治具としても利用されています。
なお、3Dプリンターでの造形は、表面に段差があり、切削や金型を使用した造形と比較して高い精度を出すことに関しては課題があるため、研磨などの調整を行う必要があります。