商品開発における試作品・モックアップは目的によって製作する種類が異なります

2021/08/26
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試作品・モックアップを製作するための技術にはたくさんの種類があり、製作の目的や予算などに応じて選択しながら製作を行います。外側のデザインを検討する段階で内部構造まで作り込むとそれだけ費用や時間がかかるため、試作の段階や目的に応じて試作品・モックアップを製作することが一般的です。
そこで今回は、商品開発における試作品・モックアップ製作の目的ごとの種類についてお伝えします。

【目次】
1.商品開発の際に製作される試作品の種類
2.製品の大まかな機能を検討する原理モデル
3.製品の見た目をブラッシュアップするデザインモデル
4.製品の精度や品質向上を行うための性能検討用モデル
5.今回のまとめ

商品開発の際に製作される試作品の種類

商品開発で製作される試作品には様々な種類があり、大まかな機能を検討するためのものを「原理モデル」、外側のデザインや質感などを検討するためのものを「デザインモデル」、商品の精度を検討するためのものを「性能検討用モデル」といいます。その他にも、実際の物と同様の外見で製作される「モックアップ」や、実際の物と異なるサイズで作られる「スケールモデル」などが存在し、展示会やプレゼンの際に使用されます。
また、粘土が使用されたモデルを「クレイモデル」と言い、木材で製品の原型として用いられるモデルを「木型」と言います。なお、モノづくりが行われ始めた当初は、木材での試作作りが一般的であったことから、現在でも試作品のことを「木型」と言うことがあります。

製品の大まかな機能を検討する原理モデル

原理モデルは、製品の大まかな機能を検討するために製作される試作品です。そもそも求める機能が実現できるかという視点で作られるもののため、製品の全体を作るのではなく一部のみを要件や試作の設計図をもとにして作ることもあります。原理モデルを試作した上で問題があれば要件や試作の設計図を修正し、改善を繰り返して機能が実現できるよう製作を進めます。
なお、原理モデルは、一部の機能のみを検討するモデルのため、機能を追求した結果、デザイン性が損なわれたり組み付けの際に整合性が保たれない場合も考えられます。原理モデル製作後、デザインモデルや性能検討用モデルを製作し、全体のデザイン性や機能性、性能などを高めることが大切です。

製品の見た目をブラッシュアップするデザインモデル

デザインモデルは、製品の外側の形状やデザインを検討するために製作される試作品です。表面に使用する素材や質感なども細かく調整するデザイン特化型のモデルのため、内部構造や機能性は削ぎ落として製作されることが一般的です。
また、デザインモデルは実際の量産モデルよりも細部にこだわった展示会やプレゼン用などとして製作されることもあります。ユーザーに製品をより魅力的に感じてもらえるよう、PRする際にも適しています。

製品の精度や品質向上を行うための性能検討用モデル(ワーキングモデル)

性能検討用モデルは、ワーキングモデルとも呼ばれ、商品開発において欠かせない精度や品質を検討するために製作される試作品です。量産試作を行う前段階に性能検討用モデルを製作し、製品の内部構造や機能、強度や耐久性などの性能、干渉や動きの不具合などの検討を行います。
また、パーツや部品同士の組み付けを行い、コンマ1mm単位で調整を行なってブラッシュアップを行います。

今回のまとめ

商品開発で製作される試作品には様々な種類があり、大まかな機能を検討するためのものを「原理モデル」、外側のデザインや質感などを検討するためのものを「デザインモデル」、商品の精度を検討するためのものを「性能検討用モデル」といいます。原理モデルで一部の機能を検討した後、デザインモデルや性能検討用モデルと製作を進め、商品のデザイン・機能・性能を総合的に高めることが大切です。