ものづくり企業におけるダイナミック・ケイパビリティの重要性とは?

2022/12/02
column

ダイナミック・ケイパビリティという言葉をご存じでしょうか。ダイナミック・ケイパビリティは、現代の日本企業が売上を伸ばすために必要な能力です。
ここでは、ダイナミック・ケイパビリティの特徴や高める方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

日本政府も重要視するダイナミック・ケイパビリティとは?

ダイナミック・ケイパビリティとは、環境や状況が激しく変化していく中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力です。
2020年5月に経済産業省・厚生労働省・文部科学省が共同で発表した「ものづくり白書2020」の中で取り上げられ、製造業界を中心に注目を集めています。同白書では、ダイナミック・ケイパビリティを「日本の製造業の課題を考えるにあたって注目すべき戦略経営論」と位置づけ、その重要性を強く訴えています。

ダイナミック・ケイパビリティを構成する3つの要素

ダイナミック・ケイパビリティは以下の3つの要素で構成されています。

・Sensing(センシング:感知)
・Seizing(シージング:捕捉)
・Transforming(トランスフォーミング:変革)

それぞれについて見ていきましょう。

Sensing(センシング:感知)

顧客ニーズの変化や競合他社の動向といったビジネス環境を観察・分析して、生じそうな脅威・機会を察知する能力です。デジタル技術を活用したデータ収集や分析によって、脅威や危機の感知能力は高まります。また、AIは環境や状況の変化を予測し、不確実性によるリスクの低減に効果を発揮するでしょう。

Seizing(捕捉)

企業が保有している既存の資源・知識を応用し、再利用する能力です。資源や知識を活用するには以下の3つの能力が求められます。

・外的要因の変化を察知する能力
・柔軟な思考
・臨機応変な対応

顧客データをフィードバックして製造や開発に役立てるSeizingは、顧客ニーズを捉えて企業の資産や価値、技術を再構築します。顧客の体験価値を、新たに創造する機会として作り出すものです。

Transforming(トランスフォーミング:変革)

競争力を持続可能なものにするために、社内にある多種多様な資産を再構築・再構成する能力です。既存の組織構造の組み替えや社内ルールを見直して、多種多様な資産を利用できるようにするなど、変化に対し対応できる企業体質へ最適化していきます。

ものづくり企業がダイナミック・ケイパビリティを高める方法とは?

ものづくり白書2020の中では、ダイナミック・ケイパビリティを高めるためのIT投資の重要性についても記載されています。ものづくり企業においても、以下の5つに投資することで、ダイナミック・ケイパビリティを高められるでしょう。

・AIやビックデータを活用した市場予測
・システムやIoTによるリアルタイムなデータ収集と連携
・3D設計やシミュレーション技術による製品開発力の強化
・強靭なサプライチェーンの構築
・需要変動に備えた変種変量生産やマスカスタマイゼーションの実現

製造業が先行き不透明で変化の激しい現代を生き抜くためには、デジタルの活用によってダイナミック・ケイパビリティを高めることが重要です。

今回のまとめ

今回は、ダイナミック・ケイパビリティの特徴や構成する要素、ものづくり企業がダイナミック・ケイパビリティを高める方法について解説しました。ダイナミック・ケイパビリティは、IT化により業務を効率化したい企業や、売上を伸ばしたい企業には大切な能力です。変化が激しい現代に対応できる企業を目指して、ダイナミック・ケイパビリティを高めていきましょう。