企業の開発担当者が試作品製作時に把握しておきたい「ねじ」の知識

2022/10/05
column

私たちの身近にあって欠かすことのできないのが「ねじ」の存在です。ねじは数多く使用されている代表的な機械要素です。機械要素とは機械を構成する部品のことです。開発担当者が試作品を製作する際にも、部材と部材をつなぐ重要な機械要素となりますから、ねじの基本的知識は必要不可欠だと言えるでしょう。
今回は、企業の開発担当者の方に知っていていただきたいねじの基礎知識について、詳しく解説します。

精度の高いねじは試作品製作に欠かせない部品

一般的なねじの規格としては、国際規格としてISO規格があり、日本ではJIS規格があります。JIS規格では種類および等級などについて定められています。
ではなぜねじには精度があるのでしょうか?それはどこで製造されたボルトとナットでもきちんとはまり合うためです。精度の決まりがないと、たとえばA社で製造したボルトとB社で製造したナットがうまくはまらないことになり、ユーザーに混乱が生じてしまいます。
ねじ精度は試作品を設計する際に、用途や目的に応じて選択されます。ですから、開発担当者は設計段階でねじの精度を意識しておく必要があります。
精度の厳しいものはバラツキが少なくしっかりはめ合うため、航空機や自動車に使用されます。一方、建築現場などで使われるねじは、はめ合いにゆとりがないと作業が滞ることになりますので、緩やかな精度のねじが使われます。

部品と部品を安全につなぎ合わせるために用途に応じてねじを選ぶ

ねじの種類はとても多く、設計や使用目的に適合するねじの選択に迷うほどです。代表的なねじを理解したうえで、用途に応じて正しく使い分けられることが重要です。
ねじの主要なはたらきは、部材と部材を締め付けて外れないようにする「締結」です。部材と部材は外れないことを望まれますが、外したいときにはできるだけ楽に外せることが求められます。一見矛盾することですが、ねじを適切に用いることでユーザーのニーズに応えていくのです。用途に応じたねじを適切に用いることには知識が必要で、学習する必要があります。

試作品製作時はねじの規格が重要になる

ねじやばねなどの機械要素は、各部分の寸法などが規格で規定されることで、幅広く互換性を持つものとして広く使用されています。たとえば、ねじの場合には、ねじの頭部形状、ねじ部分の直径の寸法、ねじ山の角度などがすべて規格で規定されています。
もし規格が規定されておらず、製造者が適当な寸法でねじをつくっていたら、おねじとめねじがかみ合わずユーザーに混乱が生じてしまいます。
これらのことから、試作品製作時の設計段階では、試作品の用途に応じたねじの種類や材質、規格のものを選ぶことが重要です。

今回のまとめ

今回は企業の開発担当者向けに試作品製作時に知っておいてほしい「ねじ」の基礎知識についてご紹介しました。精度や規格といった専門用語に精通し、開発担当者としてねじの知識をもっておくことは必要不可欠です。ねじにはたくさんの種類があり、その中から条件に合うものを選択していく必要があります。ねじについて深く学習し、開発担当者としてのスキルアップにつなげていきましょう。